2019年10月12日、「令和元年東日本台風(台風19号)」により川崎市市民ミュージアムが被災し、26万点に及ぶ収蔵品のうち約23万点が被害を受けました。
東洋美術学校は被災初期段階から要請を受け、マンガ分野への助言や被災資料の受け入れを行い、被災収蔵品のマンガ原画のレスキュー事業に協力をしています。
そしてこの度、本校で行われたレスキュー事業の内容について 松田泰典先生(保存修復科 教育研究スーパーバイザー)と小野慎之介先生(保存修復研究室 室長)がインタビューを受け、川崎市市民ミュージアム公式HPにて記事が公開されました。
インタビュー記事では、実際に本校で行った処置内容や修復作業手順、また作業に参加した生徒たちの声も掲載されています。ぜひご一読ください。
公開記事
被災収蔵品処置の記録 ―収蔵品を追う― ~漫画分野編~ <岡本一平漫画原画>
川崎市市民ミュージアム公式HP
保存修復科 メディア芸術のアーカイブに関する事業
本校保存修復科は、文化庁のメディア芸術のアーカイブに関する事業に協力しています。この事業は、マンガ、アニメーション、ゲーム及びメディアアートにわたるメディア芸術分野において必要とされる新領域創出と調査研究等を、分野・領域を横断した産・学・館(官)の連携・協力により実施して、恒常的にメディア芸術分野の文化資源の運用・展開を図るための新たな創造の促進と、専門人材の継続・発展的な協力関係の構築を目指しています。我々はこの中で、既に国際的にも認知されているマンガ原画についての保存プロジェクトに参加し、日本文化の継承と発展のために尽力してまいります。
川崎市市民ミュージアムの被災資料レスキュー事業
2019年10月12日の「令和元年東日本台風(台風19号)」により川崎市市民ミュージアムが被災し、26万点に及ぶ収蔵品のうち約23万点が被害を受けました。本校では被災初期段階から要請を受け、マンガ分野への助言や被災資料の受け入れを行っています。
東日本大震災では海水による塩害やカビ被害、臭気などが大きな問題となりましたが、今回の被災でもカビの被害が資料に深刻なダメージを与えています。また浸水により発生した破れや破損といった物理的ダメージだけでなく、劣化要因となり得る様々な物質に資料が晒されることとなり、今後の資料保全にも大きな課題を残すことが予想されます。
これらの問題に対し様々な分野の専門家が連携をしながらレスキュー作業が進められていますが、例えば「マンガ原画」などの比較的新しい文化的資料については、資料の”何を”保存し後世に残していくべきなのか、改めて考える必要が出てきます。
ここでの経験は教育現場へと還元され、当該分野の人材育成に貢献しています。